蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

カタクリとギフチョウ (2021年3月)

3月の中旬から下旬にかけての、ギフチョウ撮影の記事です。

カメラを始めて最初に撮った昆虫がギフチョウで、去年はカメラを買ったばかりでろくに撮影できなかったのでそのリベンジです。

 

 

ギフチョウとは?

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

ギフチョウ Luehdorfia japonica は、丘陵地から山地にかけての森林に生息する、翅の"だんだら模様"が特徴的なやや小型のアゲハチョウの仲間です。

3月の下旬頃の早春に羽化する春一番のチョウで、発生から1ヶ月ほどで姿を消します。

その可憐で儚げな姿から"スプリング・エフェメラル"と呼ばれることもあります。

ギフチョウはその美しさから自然愛好家から人気があり、昆虫採集の対象としてはもちろん、自然豊かな里山環境保全におけるシンボル的な存在として扱われることもあります。

 

被写体としてのギフチョウ

ギフチョウは春を代表する美しい自然の姿として、昆虫愛好家のみならず、野鳥愛好家や植物愛好家など、あらゆる自然愛好家から愛される被写体としてとても人気があります。

特に早春に花を咲かせるカタクリとのツーショットはとても絵になるので、カタクリの群生地がある場所にはギフチョウの吸蜜待ちのカメラマンが集まります。

ギフチョウは他のアゲハチョウの仲間と比べると動きがゆったりとしていて、朝方の寒い時間は飛んでもすぐに落ち葉に止まって休むので、チョウの中では撮影しやすい部類にはいると思います。

しかし気温が上がって昼頃になると飛び方も俊敏になり、警戒心も強くなって撮影が難しくなります。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

気温が上がって活性が高くなると、このように翅を立てて止まるようになります。この時は警戒心が強く、なかなか近寄れません。

 

カタクリギフチョウ

ギフチョウが現れる早春の里山には、チョウが吸蜜できるような花はほとんどありません。

そのため、ギフチョウが吸蜜に来る花はスミレやショウジョウバカマなど春早くに花を咲かせる種類に限られます。

その中でも、特にギフチョウが好んで訪れる花がカタクリです。

大きなカタクリにぶら下がって蜜を吸う姿は、なんともいえない、日本的な美しさを感じます。

私もそんな姿を写真に収めるべく、大きな望遠レンズで撮影に挑みました。

実はカタクリを吸蜜中のギフチョウは無防備で、広角レンズでぐっと近寄って撮ることも出来ますが、花に止まって吸蜜している時間は数秒なので、近寄る前に飛ばれてしまうことも多く、接写は上級者向きです。

初心者は望遠レンズで遠くから狙うのがオススメです。

オリンパスの新しい望遠レンズは1.3mまで寄れて撮影倍率も大きいので、離れた場所から画面いっぱいに写すことができる素晴らしいレンズです。トンボ用に買ったレンズですが、チョウ撮影でも活躍できると思います。

 

さて、カタクリ&ギフチョウの撮影ですが、ひたすら"待ち"の撮影になります。カタクリの前に陣取って、ギフチョウがやってくるのを待ちます。

ギフチョウは"蝶道"と呼ばれる一定のルートを周回し、その途中でメスと出会ったり吸蜜を行ったりするので、蝶道を理解し、その途中にある吸蜜ポイントを押さえれば必ず撮影チャンスは訪れます。

場所がわかったらひたすら待つのみ。通りかかるだけで吸蜜してくれない時も多々ありますが、次の周回を待ちます。

そうやって待ち続けても撮影チャンスは一瞬。

数秒の間に、レンズを向けて、ピントを合わせて、構図を整えて、シャッターを切る、一連の動作を素早く行えなければ、いい絵は撮れません。

3日間、合計で15時間くらい待ち続けてまともに撮れたのはたった3枚。まだまだ修行が必要ですね…

しかし難しい分、思い通りの絵が撮れた時の感動はひとしおです。今年もなんとか1枚は納得のいく写真が撮れました。

その写真がこちら。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

縦構図でカタクリギフチョウをできる限り大きく映した一枚。複眼にしっかりピントが来ていて、細い脚や体毛もしっかり解像しています。お気に入りすぎて、スマホのロック画面にして毎日眺めています。

来年はまた違うレンズで撮ってみたい気持ちもありますが、まずはこのレンズを使いこんでさらに良い写真が撮れるように精進したいです。