蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

キイロサナエ(2021年6月)

6月中旬、キイロサナエという、少しレアなサナエトンボの撮影に行きました。

キイロサナエ Asiagomphus pryeri は、平地や丘陵地を流れる緩やかな小川に生息している大型のサナエトンボです。

西日本を中心に分布は広いですが、生息に適した環境条件が揃っている場所にしか定着しないため、見られる場所はかなり限られています。

同属にヤマサナエ Asiagomphus melaenops という外見が酷似したサナエがいます。

ヤマサナエはキイロサナエよりも流れの早い場所でも生息することができるなど、キイロサナエよりも環境への適応能力が高く、現在でも日本各地の河川で比較的普通に見られるサナエです。

両者は微妙な環境の好みの違いによって棲み分けていますが、混生することも多く、同定には注意が必要です。

 

ヤマサナエとキイロサナエ

ヤマサナエとキイロサナエは外見が非常によく似ていますが、よく見ると結構違いがあります。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7Ⅱ

こちらがヤマサナエ。体型は太くがっしりしていて、サイズもキイロサナエより大きくなります。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

こちらがキイロサナエ。ヤマサナエと比べるとややほっそりとしていて小さめです。慣れてくると、飛んでいてもどっちのトンボかなんとなく見分けれるようになります。

正確に見分けるためのポイントは胸部前面にあるL字の模様の太さと、尾端の付属器の形状です。

胸部前面のL字の模様が細くてよりアルファベットのLに近い形をしているのがキイロサナエです。

一方でL字が太くなって台形のような形に見えるのがヤマサナエです。

しかしたまにL字が細いヤマサナエもいるので、これだけで同定するのは危険です。

より確実に見分けるためには尾端の形状を見ましょう。

オスのサナエトンボの尾端には付属器と呼ばれる鉤爪のような突起があります。この突起は上2本、下2本の計4本によって構成されていますが、上2本よりも下2本の方が長いのがキイロサナエになります。

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これがヤマサナエの尾端

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これがキイロサナエの尾端になります。

メスはもっとわかりやすい特徴があるのですが、今年は残念ながらキイロサナエのメスに出会うことが出来なかったので、また来年、メスに出会うことができ次第写真で紹介できればいいなと思います。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

キイロサナエ。体型のバランスがとれていて、とてもかっこいいサナエです。