蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

ヒメオオクワガタ(2021年10月)

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

ヒメオオクワガタというクワガタをご存知でしょうか?

子供の頃クワガタ採りをやっていたという人でも、意外と知らないという人が多い気がします。

子供向けの図鑑にも載っていて、絵や写真では見たことがあるという人はいると思いますが、実際に捕まえたことがある人は少ないと思います。

オオクワガタと名前につくので、珍しいクワガタなんだろうという漠然としたイメージはあるかもしれませんが、オオクワガタとはまったく異なる環境に生息しています。

ヒメオオクワガタは、標高900〜1500mくらいのブナ原生林に生息している高山種のクワガタムシです。

ミヤマクワガタも山深い場所に多いイメージがあるかもしれませんが、平地の雑木林でも見つかるミヤマクワガタとは異なり、ヒメオオクワガタはブナの原生林があるような高標高地にしかいません。

幼虫はブナの立ち枯れの中で育ち、成虫はヤナギ類などの樹皮の柔らかい樹種の枝先に集まります。

平地のクワガタムシたちは樹液の出ている木に集まりますが、ヒメオオクワガタは大顎で樹皮を傷つけて樹液を出して舐めます。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

なのでこの写真のように、ヒメオオクワガタが集まる木には彼らが大顎で傷をつけた後が残されます。

子供でも気軽に採集が楽しめるヒラタクワガタミヤマクワガタとは違い、高標高地の山奥にいるヒメオオクワガタは採集が難しく、大人のクワガタムシというイメージです。

かくいう私も昔から存在は知っていましたが、実物を見たのは今年が初めてです。

平地のクワガタシーズンが終わる8月下旬頃から発生のピークを迎え、10月頭ごろまでは見られるので、他のクワガタと時期が被らないのが良いですね。

オオクワガタやヒラタクワガタよりやや小型ですが、大顎の形状や丸みを帯びた独特の体型は美しく、とても魅力的なクワガタだと思います。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO