蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

オナガアカネ(2021年10月)

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

北陸地方の海沿いの湿地で、飛来種オナガアカネに出逢いました。

日本で記録されているトンボの中には、本来は日本には生息していない種類が含まれています。

そのような種類は"飛来種"又は"迷入種"と呼ばれています。

飛来種のトンボたちは、主に季節風や台風に乗って日本にやってきます。

渡り鳥のように、日本を目指して飛んでくるというよりは、風に飛ばされて偶然流れ着いたという感じなので、毎年必ずしも飛来するとは限りません。

オナガアカネはそんな飛来種の赤トンボで、本来はユーラシア大陸東部を中心に生息しています。

日本に飛来するオナガアカネたちは、冬にかけて強まる北西の季節風に運ばれて、日本海沿岸部の各地に飛来すると言われています。

オナガアカネの和名の由来はメスの産卵弁が著しく長く発達していることから来ています。

オスメス共に、ヒメアカネやマイコアカネのように額が白いのが特徴的ですが、体格ががっしりとしていてどこか雰囲気が違います。

メスは産卵弁の長さを見れば簡単に見分けられますが、オスを確実に見分けるには腹部の形状がポイントになります。

オナガアカネのオスの腹部第7節は下に出っぱっており、マイコアカネやヒメアカネとは腹部のシルエットが大きく異なります。

飛来種と呼ばれるトンボたちは日本国内での確実な発生が確認されておらず、毎年飛来して冬には卵を含めて死滅していると言われています。

しかし、一部の飛来種は、日本国内での発生が確認されている種類もおり、今後の気候変動次第では、定着の可能性もありえます。

飛来種はトンボの可能性を感じる、ロマン溢れる魅力的な存在ですね。