蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

森に棲む精霊たち(2023年7月)

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OM SYSTEM OM-1+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

森の下草に潜むキタササキリモドキ。

7月末、山奥の森の中に棲む、小さなキリギリスの仲間を観察しに行きました。

ササキリモドキの仲間たちは、標高のある山地、あるいは山間部の森ようなやや冷涼な環境を好む森林性の強い直翅目の仲間で、体長は大きくても15mmほどしかありません。

主に森の下草や中低木の葉っぱの上で生活しているタイプのササキリモドキと、広葉樹の樹上に住んでいて、葉っぱの裏側に張り付くようにして過ごしているタイプがいて、前者は翅がかなり短く退化していて、成虫になっても飛翔能力がありませんが、後者は翅があり短い距離であれば飛んで移動することができます。

ササキリモドキの仲間は森林環境に依存していて移動分散性が低いことから、地域ごとに独自の進化を遂げた固有種が多くいます。

特に翅の短いタイプはほぼ日本固有種で、その地域でしか見られないものも多いです。

一見すると小さく地味な昆虫ですが、透き通った緑色の体色や、種ごとに独自の発達を遂げた腹部先端の形状などが非常に面白く、知れば知るほどハマっていく虫です。

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OM SYSTEM OM-1+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

樹上の葉裏に潜んでいたムサシセモンササキリモドキ。

ササキリモドキの仲間は、鋭い観察眼と生態に関する知識がないと、なかなか見つけることはできない。