アオサナエ(2021年5月)
5月下旬、アオサナエを撮りに行きました。
生息地はホンサナエと同じ川ですが、ホンサナエよりやや遅れて姿を見せるトンボです。
アオサナエとは?
アオサナエ Nihonogomphus viridis はホンサナエと同じく水の綺麗な河川中流域に生息しているサナエトンボです。
なによりも目を引くのがその体色で、サナエトンボ科のトンボは黒字に黄色の斑紋をもつことが多い中で、アオサナエは成熟すると緑色に色づきます。
地味な印象のサナエトンボの中で、際立って美しい種類であり、愛好家からも人気があります。
ホンサナエと同所的に見られることも多いですが、泥地を好むホンサナエに対して、アオサナエは砂地を好むなど、微妙に環境の好みが異なります。
飛び方はホンサナエよりもさらに俊敏で、人の接近にも極めて敏感に反応しますが、縄張り意識がとても強いので、一度飛び立ってもまた同じ場所に戻ってくることがほとんどです。
天候との戦い
アオサナエに限った話ではありませんが、トンボの撮影、特にサナエトンボの撮影は天候が非常に重要になります。
川などに棲む流水性のサナエのオスは、よく晴れた日の午前中を中心に河川に現れ、石の上などに止まって縄張り占有行動を行います。
曇っていて太陽が雲に隠れてしまうと、活動をやめてねぐらとなる河畔林などの樹上に帰ってしまいます。
朝から曇っている日は川に降りてくることはなく、そのままねぐらで1日を過ごすので、そのような日は観察に向きません。
同じ流水性サナエトンボでも、晴天時しか出てこない種もいれば、少しの間でも晴れると、川に降りてくる種類もいます。
アオサナエはどちらかというと前者で、朝からすっきり晴れた日以外はあまり見かけません。一方、ヤマサナエなどは少しの晴れ間でも姿を見せてくれます。
私も仕事があるので、休日しか撮影には出かけられません。
なので、流水性サナエトンボの季節は、休日と晴れの日が重なってくれるように毎日祈りながら日々を過ごしています。
新緑の化身
OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS
アオサナエが出現する頃の野山は、まさに新緑の季節です。枯れ草が目立っていた川の土手も、夏草にどんどん覆い尽くされていきます。
そんな季節に現れるアオサナエの美しい緑色の姿は、まさに新緑の化身と呼ぶにふさわしいと思います。
OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS
ホンサナエは身体を水平にして止まることが多いのに対し、アオサナエはこのように尾端を持ち上げるような姿勢をとることがあります。
この姿勢はトンボ界隈ではオベリスク姿勢と呼ばれていて、尾端を太陽に向けて掲げることで日光の当たる面積を出来るだけ小さくしてオーバーヒートを防ぐという、トンボたちの熱対策と言われています。
暑い日は水面とほぼ垂直になるまで尾端を持ち上げることもありますが、私はこれくらいの角度が好きですね。
OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS
清流に棲むトンボなので、やはり水面を入れて撮りたい種でもあります。青い水面と無数の玉ボケが涼しげなお気に入りの一枚です。