蜻蛉と蟷螂

トンボを中心に、季節の昆虫を撮ります。

ホンサナエ(2021年5月)

5月中旬、ホンサナエを撮りに行ってきました。

ホンサナエは私がトンボ撮影にハマるきっかけにもなった、一眼カメラを持ち始めて初めて撮ったトンボです。

ホンサナエとは?

ホンサナエ Shaogomphus postocularis は春から初夏にかけて現れる中型のサナエトンボです。

何よりも特徴的なのがその体型で、多くのサナエトンボが細身ですらっとしているのに対し、ホンサナエは太短いような独特の体型をしています。

その体型のおかげで、遠目からでもすぐにホンサナエだとわかります。

ホンサナエは流れのやや緩やかな河川の中流域に生息していて、幼虫は砂地に泥が混じるような環境を好みます。

また、成虫は成熟するまでの間樹林の樹上で過ごすため、生息地の河川にはそのような樹林が隣接している必要があります。

近年、平地を流れる小川の多くはコンクリートで護岸されてしまい、平野部の河畔林の多くは公園やゴルフ場、ソーラー発電施設などに開発されてしまいました。

これによってホンサナエが生息できるような環境は全国的にかなり少なくなっており、各都道府県のレッドリストではかなり上位のランクに指定されていることも。

 

見かけによらず…

ホンサナエは、ミラーレス一眼カメラを購入した去年、私が最初に撮ったトンボです。

去年の5月ごろ、撮りたい被写体になかなか会えずに軽くスランプに陥っていました。

そんな時、トンボ屋の知人に勧められたのがサナエトンボの撮影でした。

今の時期に川に行けば何かしらのサナエトンボが見れるよと言われ、言われるがままに県内の記録を漁り、県内でも特に環境の良さそうな川へ行きました。

サナエトンボは警戒心が強いと聞いていたので、レンズはいちばん望遠のきくものを選び、いざ川へ。

そこで最初に出会うことができたサナエトンボがホンサナエでした。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7Ⅱ

その時の写真がこれ。フルサイズ換算で600mm相当までズームして、じわじわと近づきながら撮りました。

その独特な体型から、ほとんどトンボの知識がなかった私でもすぐに種類がわかりました。

この後、もう一歩近づいて撮ろうとしたら、気付かれて遠くへ飛んで行ってしまいました。

太短い体型から、ゆったりと飛ぶのかと思えば、こちらの動きに素早く反応して俊敏に飛び回るので、そのギャップに驚かされます。

私は俊敏なサナエトンボを驚かさないようにじわじわと近づきながら、カメラを構えてシャッターを切るその緊張感に完全に魅了されてしまい、それがトンボ撮影の始まりとなりました。

ホンサナエはかっこいい!

ホンサナエの太短い姿は、独特とか愛嬌があると言われることはありますが、かっこいいと紹介されているのはあまり見かけません。

私としては、こんなにかっこいいトンボはなかなかいないと言えるくらいホンサナエのフォルムが大好きです。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

まず複眼の形が独特ですね。他のサナエよりも小さめで頭が丸っこく感じます。これが親しみやすい雰囲気を後押ししている気がします。

ホンサナエに限らず、サナエトンボの仲間は複眼の偽瞳孔(目のような黒い点)が大きくて目立ちます。

他の種類のトンボよりも"こっちを見てる感"が強いのはそのせいだと思います。

太短い分、腹部のくびれはあまり目立ちませんが、この角度だとしっかりくびれてるのがわかります。

いったん細くなった腹部が先端にかけて太くなる感じ。良いですね。

写真の個体はオスなので、尾端の付属器がよく目立ちます。大きく鉤爪状になっていてとてもかっこいいと思いませんか?

そして最後にサナエトンボを評価する上での重要なポイントが体斑です。ホンサナエは白い部分が多くて条線はあまり目立ちません。

胸部全面のZを太くしたような部分が個人的にはツボで、かなり好きです。

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OM-D EM-1 MarkⅡ+M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 IS

私がサナエトンボを撮る時に意識して撮るようにしているのがこの角度です。

完全な真横ではなく、やや角度をつけて4枚の翅が写るように意識しています。

この角度なら、顔つきから体型、斑紋、尾端の形状まで、おおよその同定形質を一枚の写真で確認できます。

もちろん同じ角度でもっと近づいて撮った写真もありますが、この時は空の青が水面に反射して綺麗だったので背景をやや広めに入れてみました。